ITUYOGA

特定の流派には属さないハートオブヨガという理念を持ったヨガの先生。

ひとつまみのレトリックがキューイングを飾る!12の原理で、レッスンに華を添える

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1.英語が苦手だったから、日本語を極めようと思った

悔しかった。英語がまったくできないことが悔しくてたまらなかった。悔しさからハラワタが沸騰することもあった。

あとから思い返せば、現代の学校教育のシステムは万人が英語を学習できる環境ではなかった。そんな理由に気がついたが、やっぱり苦手意識はなくならなかった。

 

「それなら、せめて、日本語だけでも」

 

そう思って日本語の表現技法を極めてやろうと思った。

世界で通用する人材でなくていい。そのかわり、替えのきかない人間であろう。

いつヨガへようこそ。柏原ゆうた@YutaKashiwabara)です。

 
この記事では、ヨガのインストラクターがレッスンで使うキューイングというものを日本語の原則にそって考えるものです。ステキな言い回しや、セリフ、台本作りにお使いいただけます。詩的で、さりげない花を添えて、レッスンを飾りましょう。
 

対象:日本語を極めたい/キューイングを身につけたい/日本語を使いこなせてない
読了:約4分(4,000字) 

2.レトリックとは。レトリックがキューイングに効くわけ

レトリックとは簡単に言えば、「うまく話す技術」「うまく書く技術」のことです。

どんな発想を、どんなふうに組み立てて、どんな言葉を使ったらいいのか。

こんなことを突き詰めていくことです。

 

レトリックは、言葉巧みに人をあざむくようなものではありません。より言葉が、想いが、100%に近い形で伝えるために必要なことです。

ヨガインストラクターであれば、言葉を使って生徒さんを誘導しなければなりません。ポーズを見せてデモンストレーションすることはあくまでも言葉のオマケであり、メインはキューイングです。

そのため、キューイングを磨くためにレトリックをおすすめします。より詩的な、あるいは論理的な表現で感情を揺さぶることができる。

 

キューイングを思いつくためには3つのことを実践している必要があります

  • ヨガのプラクティスを毎日していること
  • いいコトバに触れていること
  • 伝えたい情報、想いがあること

 

情報も、想いも、伝わらなければ、どこにも残らない。

 

3.レトリックの基本を身につければ、魅力的な言葉でリードできる

しかし、レトリックを身につけてしまえばキューイングの幅は大きく広がる。

ちょうど先日、ヨガのショートレッスンを通話ごしにやってみたのだが、見事に全て伝えることができた。

もちろん、相手がある程度ヨガをやり慣れていたからできたことだが。

 

そこでは「ボキャブラリーが多くでびっくりした」と言われた。

レトリックを学ぶと、本やCMでコトバに出逢うたびに自分のなかに蓄積されやすくなると感じる。

なので、今、ボキャブラリーが少なくても気にしなくていい。

 

これからは、カラカラのスポンジにも負けない吸収力で、コトバを吸収しよう。

4.レトリックをキューイングに含ませていこう!12の原理

レトリックの表現技法は正直いって、とても全てを網羅できるほど、たやすい領域ではない。

それをあえて、ヨガインストラクターがレッスンですぐに使えるであろう、基本的な表現に絞って紹介する。

しかも日本語はやっかいで、分類が非常にむずかしく、重なり合う部分もある。なので、ふんわりとした基準ですが、ご理解を。

 

12の原理を紹介しますが、一気に全て身につける必要はなく、どれか一つ感性に合うものを試していけばいい。

  1. 誇張する
  2. 喩える
  3. 対照する
  4. ほのめかす
  5. ぼかす
  6. 繰り返す
  7. 追加する
  8. 省略する
  9. 移動する
  10. 呼びかける
  11. 驚かす
  12. 引用する

この12の原理からさらに細分化していけば、もっと細かく、40以上の文彩があるとも言われている。

だが、実際に覚えておけばいいのは12の原理くらいで、細分化されたものは言語学者に任せよう。

 

4-1.誇張する

  • 虎の爪のようにマットを掴んで
  • 獲物を捉えるタカの目
  • おへそを背中にくっつけるように

なにか物事を大げさに表現することで、言わんとすることを伝える。

ボクら人間は虎のような爪はもってないし、おへそを背中にくっつけることはできない。

「燃え上がるような」みたいな表現も誇張に当てはまる。

4-2.喩える

  • あばら骨をアコーディオンのように
  • 波のような音が響くように
  • 骨盤がどっしりと休んでいる(擬人化)

ちょっと日常から離れたものを、身近なものに喩える。

ちなみにこれらは呼吸をするときに時々つかっているキューイングです。

4-3.対照する

  • 吸う息は受け入れ、吐く息は手放す
  • 膨らんだり、しぼんだり
  • 心臓の鼓動、血液の脈動

似ているもの、似ていないもの。それらを並べることで強調する方法。

他にも「Aではなく、Bである」という表現があり、たとえば「ヨガはストレッチではなく、呼吸である」というキューイングも作れる。

4-4.ほのめかす

  • 呼吸を味わって (呼吸の温度、速さ、深さなどを)
  • 体の声を聞いて (言語ははっしないが、翻訳するとしたら)
  • アーサナから出る(アーサナという体験から)

呼吸は味覚では味わえないことは、わかる。ここでは呼吸がもたらす感覚、あたたかさ、速さ、深さなどを感じることを味わうと表現している。

体もしゃべったりしないが、身体が痛みや快適さを発していたら、どうしてほしいのか翻訳しろということ。

アーサナは建物ではない。だが、自分の内側に入っていくという意味では建物、というキューイングだ。

4-5.ぼかす

  • ムーンデイに向けて
  • ハヌマーンは簡単なアーサナではない
  • 最近、フィットネスジムで見られる過激なヨガは・・・

ムーンデイとはいわば女性に毎月訪れる日のことである。それを名前の通りいうのは少々無粋に聞こえる。なので、ちょっとぼかすことでおしゃれに伝えられる。

「簡単ではない」とは、ようは「難しいもの」ということ。否定することで、ぼかしつつ、印象に残せる。

「過激なヨガ」と聞けば、特定せずとも、「ああ、あれね」と理解させることができる。漠然と言うことで特定する技法。

4-6.繰り返す

  • たっぷり息を吸って、伸びて伸びて伸びて・・・
  • 息を吸い込み、空気を取り込んで
  • 下半身に力を入れながらも肩は緩め、顔はリラックスしながらも気持ちは真剣に

同じような音、同じような意味の語句を繰り返すことで、強調される。

シンプルで古典的な方法だが、使わない手はない。

4-7.追加する

  • 骨盤底、骨盤の底の部分を
  • アンジャネーヤーサナ、通称クレッセントポーズこと三日月のポーズでは
  • 吸う息の受容性、やさしさ、女性らしさ、受け取る、吸収するエネルギー

いってしまえば、手紙の最後に書く「追伸」「P.S」のようなもの。

言い出しにくかったことを付け加えて、強調する。

追加された部分を削除しても、ちゃんと意味は伝わる。より詳しく、多くの人に理解されやすくする技法。

4-8.省略する

  • (息を)吸って
  • (全身が)伸びる
  • 吸って、伸びて、目線は前(に向ける)

日本語は、主語がなくても通じる言語。「昨日は(お酒を)飲んだ」「(自宅に)帰った」など、主語であるお酒や自宅を省略しても意味が通じる。

コトバを引き締めて、余韻を狙うことができる。体言止めなんかはこの部類に入る。

ちなみに英語の場合は省略ができない。日本語なら「手を頭上に」で伝わるが、英語だと「raize your hands above your head (あなたの手を頭上に持ち上げて)」と伝えないといけない。

※英文、間違ってたらごめんなさい。

4-9.移動する

  • 世間が想像するヨガは、フィットネスであり、ヨガではない。フィットネスジムで流行っている・・・(結論を先に持ってくる)
  • わたしは長いこと勘違いをしていた。自分が教えているものが、どんな歴史をもち、哲学があるのか知らなかった。
  • 「趣味でやるならいいけど、それはヨガとはいえないねえ」佐保田先生に言われてハッとした。

ここで取り上げたのはキューイングよりも、ブログやクラス前のトークなどで活用できるレトリックです。先制パンチで結論を先に持ってくることで、度肝を抜かせる効果を出す。

語順を入れ替えることで、強烈な印象を刻むことができる。キューイングよりも、文章や長いトークで威力を発揮するレトリック。

4-10.呼びかける

  • 脇腹のあたりに、どんな伸びを感じますか?
  • 胸の動きはどう感じられますか?

最終的な判断を聞き手に委ねる方法。ここで話してる側が「こうですよね」と言い切って断定してしまうと、一方的に押し付けられた感じがする。

それよりは、自分が感じ取ったものを反芻したほうが、受け入れやすいのではないでしょうか?どう思います?

4-11.驚かす

  • 穏やかであることは、新たなアドバンス(発展)である
  • やさしいアシュタンガヨガ
  • 老けた若者のような背中

「沈黙こそが語りかけ」みたいな、常識的には反対関係の言葉を合わせることができる。

また、逆説を活用してみてもおもしろい。格言やことわざによく見られる構成だ。たとえば、「逃げるが勝ち」のような。

普通、やさしくない部類に入るアシュタンガヨガに「やさしい」をくっつける。自由な発想によってこれらは生まれる。

4-12.引用する

  • 背骨がミシミシと伸びて
  • クリシュナマチャリア先生がいうには「あなたのヨガをしなさい」そう、誰かのヨガではなく。
  • 1%のテクニックと、99%のプラクティスだ

オノマトペ全般(サラサラ、ミシミシ)を引用することで、声喩という技法になる。動詞を補うために「グイグイと伸ばす」「ふわふわと抜ける」のように使われる。多用すると子供っぽくなるが、巧く使えば文に「冴え」が生まれる。

権威の言葉を引用する。ようは虎の威を借ることです。引用はことわざでも、人の言葉でもいい。ただし、多用しすぎるとイヤミっぽくなるので、注意。大学教授であり、レトリックの権威、野内良三先生がおっしゃったように「自分の発言に品位・奥ゆきを与える」ことができる。

引喩というちょっぴり知的な引用をすることもできる。アインシュタインの「1%の才能と99%の努力」という言葉を引っ張ってきて、利用する。

5.言葉は説得のため、あるいは・・・

良質なコトバをストックするために、本、できれば長く読まれ続ける文学がおすすめされる。

ちょっと文学は硬いと感じるなら、気軽に読める雑誌などのキャッチコピーでもいいかもしれない。

あまりにもボキャブラリーが少なければ、キューイングもなにもないのだから。

 

なにかむずかしく、凝ったコトバを言わなきゃならないとか、完璧に練られた台本でなくていいんです。

むしろ、アドリブの、リアルタイムの、生の現場のコトバに、人は心揺さぶられる。

キューイングを思いつくためには3つのことを実践することが必要でしたね。

  • ヨガのプラクティスを毎日していること
  • いいコトバに触れていること
  • 伝えたい情報、想いがあること

 

これらをハートにとどめておこう。いいコトバに出逢ったら、「いいなあ」と思える感性を大切に。

 

それではまた。