ヨガのレッスンを受けていて時々聴く、「オーム(OM)」という音。耳にしたことはありませんか?ヨガインストラクターなら誰でも知ってる「聖音オーム(OM)」
発音や、唱え方は知っていても、詳しい意味までよく知らないとか、本当の目的を明確に答えられない人はたくさんいます。もちろん、それは恥ずべきことではありませんし、わかりやすく説明することの難しいことだからです。
例えば、六法全書を持ってきて、「この章の12条を中学生にもわかるように解説しろ」 と言われても、簡単にはいかないでしょう。
この記事では、解説することが難しい聖音オームについて、可能な範囲で文章にしていきます。そもそも「音」なのですから、文章にすること自体が間違ってるかもしれません。ですが、少しでも理解を深める助けとなるのであれば。
まずはオームの意味について 、唱える目的、さらに高次の領域の話まで掘り下げていきます。難しいので、何度か読み返して、徐々に理解してもらえたら幸いです。
自分の内側に流れる、オームの神聖な響きに、気がついていきましょう。
聖音オームを通して、ブラフマンを知る。ブラフマンはオームであり、オームを知るとき、ブラフマンを知る。
『カタ・ウパニシャッド』
キーワード:オーム、アウム、アオム、OM、AUM/マントラ/ジャパ、アジャパ
読了:約4分(4,000字)
1.聖音オーム、アウム、アオム
非常にシンプルな音ですが、奥深い意味が込められています。全能、普遍性の象徴で、神聖なものの響きとされています。
ものすごく身近な例えをするなら、お寺の鐘の音は、まさに聖音オームと同じ響きです。
3つ+αに分類することができて、このように説明されてます。
- 目覚め
- 夢
- 熟睡
- 沈黙、純粋意識
「誕生、維持、破壊」+「その根底にある沈黙」
誕生、維持、破壊の三つはヒンドゥーの3柱の神さまが司ると言われてます。シヴァとか、ヴィシュヌという神さまのことです。聞いたことありませんか?
音は3つに分類され、創造神(ブラフマー)、保護神(ヴィシュヌ)、破壊神(ルドラ、シヴァ)を表します。
おもしろいことに、GOD(神)を分解するとジェネレーター(創造)、オーガナイザー(維持)、デストロイヤー(破壊)の頭文字になるんですよね。不思議です。
1-1.目覚め、誕生、JAGRAT(ジャーグラト)
物事は必ず、目覚め、生まれていきます。あなたがマントラに出会い、練習に打ち込むようになる。物事の始まりだ。
1-2.夢、維持、SVAPNA(スヴァプナ)
そして、生まれいでたものは維持される。マントラを続け、声に出していく努力をしていく。
1-3.熟睡、破壊、SUSUPTI(スシュプティ)
生まれたものは、どんなものにも終わりがくる。マントラを終わらせるときがくる。始まったものは、必ず終わるものだ。
1-4.純粋意識、沈黙、TURIYA(トゥーリヤ)
マントラを始める前から、そしてマントラを終わらせたときにも、マントラはずっと続いていたことに気がつく。それは始めるとか、終わらせるという次元を超えている。
非常に抽象的に聞こえるが、これは事実だ。声に出さなくても、そのマントラがハートの中で唱え続けてこられたことに気がつく。これは、実際に認識しないと気がつかない。
しかし、それは新しく習得する技術ではなく、とぎれることなく流れ、自然になされていることなのだ。
☑オームとは、世界のすべてを表現する音ということ
2.聖音OM(オーム)を唱える目的とは
正直、オームを唱える理由はハッキリを教えてもらえていないという場合が多いのではないだろうか。ヨガのティーチャートレーニングを受けても、アーサナのことばかりで、マントラのことを詳しく習えなかったとか。
あるいは、言ってることが難しくて理解できなかったとか。できるだけわかりやすく解説していこう。それでもちょっと難しい内容なので、ぜひ何度か読み返してほしい。
さまざまな聖者や指導者の書籍を参考にまとめてみました。結論としては、口に出さずとも、マントラが唱えられてることに気がつくこと。
- 声に出す詠唱
- 心の中で詠唱
- 沈黙からの語りかけを聴く
では、ひとつずつ見ていこう。
2-1.マントラを繰り返すことで、それ以外の想念を払い去るため
マントラは声に出していくことで、「マントラを唱える」ということ以外の想念、つまり考え事をなくしていくためのものだ。
そして、想念が払い去られることで、チッタ(心、意識)は浄化される。
つまりは、マントラを声に出して唱えることを繰り返していけば、想念を払いさってチッタ(心、意識)を浄化することができる。
2-2.ほかの想念を払いさって、たった一つのことに集中し続けるため
想念を払いさって、チッタ(心、意識)が浄化されれば、マントラの意味に深く意識を集中することができる。
「世界に幸福、平和、平穏がありますように」などの意味を深く理解して、唱えることで心は至高の存在に集中することができる。
そうすることで、より深いヨガの修練、イーシュヴァラ・プラニダーナ(至高の存在へ身を捧げること)になる。
2-3.唱えなくても、自然と流れていることに気づくため
無音のマントラ(アジャパ)は努力なしに唱えられる。それはハートの内側にあり、永遠に、常に実現されている。そのことに気づくため、ほかの想念に妨げられないようにするのだ。
自力で声に出さなくても、内側からBGMのように流れるものだ。ありがたいことに、すでに誰もがその音が流れている。
問題なのは、それに気づくのにマントラを唱えていかなきゃならないってことだ。
☑マントラの目的は、声に出して繰り返し、心の中で唱え、最終的にハートの内側で流れてることに気づくこと
3.オームの練習方法
三段階に分けて練習していこう。
- 声に出す詠唱
- 心の中で詠唱
- 沈黙からの語りかけを聴く
3-1.まず声に出して詠唱(ジャパ)
まずは音を声に出してマントラ、オームを唱えてみよう。これはヨガのスタジオでもときどきやることだ。
できれば複数回、繰り返していこう。音の響きがチッタ(心、意識)を浄化し、心を一点集中の状態に近づけていく。
必ず、意味を深く理解して、唱えること。機械的に100万回唱えてもだめだ。たとえ100億回唱えても、その意味に疑いを持っていたら、なんの意味もない。
なので、師から伝授されないと、効力を発揮しないと思っていい。マントラはマンツーマンでの指導でないと、本当の効力を得ることは難しい。
例えば僕が「消費税率を下げます」と唱えても、なんの力も持たない。だが、えらい大臣さんが同じことを言えば、効力を発揮される。
これと同じように、伝授され、深く意味を理解していないマントラでは、効力を強く発揮します。これが、機械的に唱えても意味がないということです。
3-2.心の中での詠唱(アジャパ)
声に出さず、心の中で意味を深く理解しつつ、何度も繰り返してみよう。これは幸いにも場所を選ばずにできる。なので、いつでも、どこでもできる。
より集中した状態に持っていくことができる。
幸いにも、ぼくはマントラを伝授されたおかげで、心を平穏に保つことができるようになれた。これはとても大きな恩恵だ。
3-3.沈黙からの語りかけを聴く
最終的には、沈黙の中から帰ってくるオームを聞くだけになる。ハートはオームそのものであり、唱えずとも、無意識のうちに唱えられている。あまりにも抽象的で申し訳ないが、これが事実だ。
努力なしに、オームが唱えられていることを自覚すれば、衝撃的な体験になるだろう。
☑最終的には沈黙から聞こえてくるオームに耳を傾ける
マントラの目的というのは、自分の内側に努力なしに起こっていることを自覚することだ。口で唱えるオームは心で唱えるオームとなり、心で唱えるオームは、最終的に自分の内側から聞こえてくる。
特別な才能も、極秘の技術もいらない。もとから、僕らの内側にあるものってことに気がつくだけだ。そう、自分の内側にすべてがある!
もしあなたがこの内なるマントラに気づいていなければ、それをジャパとして意識的に唱えるがいい。それには他のすべての想念を避けるための努力を伴う。絶えずそれに注意を注ぐことによって、やがてあなたは内なるマントラに気づくようになる。
ラマナ・マハルシ
神聖なものを自分の内側に感じること
オームとは、結局のところ、師から伝授されたものを正しい手順で詠唱しないと効果を発揮しない。もちろん、オームを唱えるだけが道ではないことを注意してほしい。
あらゆる道の中の一つとしてオーム、マントラの詠唱があるだけで、ハタヨガの実践やカルマヨガの実践でも同じところに至ることができる。
十分に意味を理解し、深く黙想しながら唱えることだ。基本的にはこの順番で練習すれば、間違うことはないだろう。
- 声に出す詠唱
- 心の中で詠唱
- 沈黙からの語りかけを聴く
最終的に努力なく、オームが唱えられていることを自覚すれば、衝撃的な体験ができるだろう。そうでなくても、心を一点に集中させることができて、平穏を取り戻す助けになる。
従って、オーム、マントラを繰り返すことは、自分の内側に流れている神聖なものに気づくことができる。それはとても安心する瞬間だ。