5000~4500年前にインダス文明の跡地、モヘンジョダロで数点発掘された「ヨーガの坐」といわれる古代文明のロマン。なぜ学者は古代文明に惹かれるのか、なぜ男たちは遺跡へ足へ運ぶのか、なぜ女たちはヨガスタジオに足を運ぶのか。その原因はよくわかっていない。
本を読んでもよくわからないヨガの歴史。ちょっとわかりやすくまとめてみようと思います。言葉も全体的に崩しているので若い子らも読みやすくなってると思います!
この記事の中ではヨガの起源から、紀元前の時代までをザックリかつブワーっと扱います。
この記事はだいたい10分で読めます。用語などは書籍『いまに生きるインドの叡智―ヨーガの源流から現代の聖者まで』を基準にしています。
古代ヨガ 紀元前3000年
ヨガが形をもって体系的にまとめられたのはこれよりもずっと後のことです。ですがその起源はすでに存在していました。名前もまだつけられていなかったでしょうが、その原型をこのころから見ることができるんだよね。
インダス文明とヨーガ
インドで最古の文明といわれるインダス文明。世界古代文明として小学校とかで習いますよね。すでに高度な文明をもっていて、きれいに並んだ区画や下水道が整備されたモヘンジョダロという都市は有名ですね。
このころはまだどんな宗教があったのか、よくわかってません。だけど大きな神殿がないので宗教指導者みたいなのはいないって考えられるよ。沐浴場が発見されていて、沐浴はこのころからあったんじゃないかって学者は考えてるね。
☑インダス文明はかなり発展した高度な文明だったと思われる
モヘンジョダロから発掘された印章
ここでヨガに関係しそうなものが発見されるんだ。粘土で作られた「ヨーガの坐」といわれる印章が発見されたんだ。だいたい5000~4500年前と言われているよ。これがヨガの原型だといわれているよ。まだ体系的にまとまってなかっただろうけど、すでにその原型があったというのはワクワクするね!
自分がそんなん見つけたら、小学生のように目をキラキラさせちゃうだろうな!
これが作られたであろう時期がだいたい5000年前と言われているよ。長いね。「ヨーガの坐」は動物に囲まれてヨガのアーサナ(座法)で座る人か神が描かれているよ。これがシヴァの原型なんじゃないかって言われてるね。しかし、5000年も瞑想していらんないわ!シヴァすげーな!
☑動物に囲まれて座り、瞑想をしている人か神を描いたものが発見される
ヨーガの起源ではあるが、まだ体系的ではない
もちろん、あくまでも起源であって体系的にまとめられたヨガではなかったね。例えば仮にガラスの歴史が3000年だとして、それを偶然見つけた人がガラスを宝石のように崇めたとする。でも実際に産業的に使われるようになったのが500年前とかだとしたら、起源は3000年前だけど体系的にまとまったのは、ここ500年ってことになるね。
だからヨガも5000年前にその起源を見ることができるけど、実際に文章とかで残っているのはそれよりもずっとあとの話ね。それがだいたい3000年前。ヴェーダという賛歌の中に「ヨーガ」という単語が「馬と馬車をつなぐもの」として出てくるよ。
☑ヨガの原型と思われるものがインダス文明の遺跡、モヘンジョダロから発見されるよ。
古典ヨガ、ヴェーダとウパニシャッド
ようやく文献の中にヨガが現れるようになってきました。おおよそ3000年前のことです。まだ具体的な実践方法も書かれていません。ですが、すでに「馬と馬車をつなぐもの」という意味合いで登場していますね。
☑このころはヴェーダ、そしてウパニシャッドというキーワードが重要
ヴェーダの時代
ヴェーダは智慧を意味して、祭りや儀式のための特殊な智慧を表します。一言でヴェーダをあらわすなら賛歌です。
現世でいいことがあるようにと神さまにお祈りするための儀式とか、賛歌のことが書かれているよ。でもまだ非暴力(アヒムサ、アヒンサー)の考えはなかったみたいで動物を捧げ物として神さまへの供物にさせられてたんだって。
ヴェーダの特徴っていったら、祭りごとや儀式ですかね。神さまたちが天、空、地に住んでいると考えてました。空き地に祭壇をつくって、火を燃やしたり供物をささげて神さまに降りてきてもらおうって感じです。
ようはパリピ向けの踊り方とか歌い方のハウツー
☑神さまに豊作や子宝を願う祭りごとの賛歌
ヴェーダの神々
自然やそれらを神格化したものを崇めるっていうのはよく見られる宗教ですよね。ちなみにヴェーダのなかにはヨガでよく知られるクリシュナ、ハヌマーン、カーリー、ガネーシャはいません!WHY!?
このころはスーリヤ、インドラ(帝釈天)、アグニ、サラスヴァティー(弁財天)、ルドラなどがよく知られてますかね。ほら、太陽礼拝(スーリヤナマスカーラ)とかアグニスタンバーサナ(薪のポーズ)、ルドラクシャという名前で伝わってるよね。ルドラは破壊神シヴァの別名でもあるね。
ヴェーダは4つにわけられます。
リグ・ヴェーダ
ヴェーダの中で最も古く、紀元前1200~1100年ごろに作られたと言われています。リグとは賛歌を意味して神々を崇めるものですね。文字として書かれることは嫌われ、師から弟子、親から子供へと暗唱で伝わったとされています。
サーマ・ヴェーダ
サーマは歌や旋律を意味します。賛歌を一定の旋律に従って歌います。そのため、音楽的に価値はありますが内容はリグ・ヴェーダとほぼ同じです。
ヤジュル・ヴェーダ
祭祀に関するスタートからフィナーレの準備や作法について扱っています。いつどんなときに、どんなマントラを唱えればいいのかという実務的な歌詞を集めたものです。
アタルヴァ・ヴェーダ
その他のヴェーダが神々への賛歌に対して、こちらは個人に対する利害や健康の祈願、悪魔払いなどを扱います。
ウパニシャッドの時代
ウパニシャッドは別名、ヴェーダの終わり(ヴェーダーンタ)。ヴェーダの時代を締めくくる思想が登場します。「師の近くに座る」という意味があり、そこから「奥義を授けてもらう」ということで「奥義書」と訳されます。すげえ中二病感があってカッコイイ!ヴェーダと比べるとこんな違いがあります。
で、ウパニシャッドは1冊の本ではありません。たくさんある書物をまとめてウパニシャッドと読んでいます。まとめWikiみたいなもんか。
時期的にはちょうどソクラテス、プラトン、アリストテレスとか孔子のような哲学者たちが生まれた時期で、世界レベルで大きなシンクロをしていたようにも感じられて、より中二病感MAX。
「おれたちゃ、ヴェーダじゃ安らぎを得られねえ!」
と考えた人たちの新興宗教がこのウパニシャッドだったんです。同じくらいの時期に仏教やジャイナ教のようなものも始まりました。このころの哲学者たちの教えをウパニシャッドとしてまとめました。
のちに翻訳されてヨーロッパにわたり、偉大な哲学者ショーペンハウアーも絶賛したそうです。東洋思想に影響を受けてますからね、彼。
西洋の宗教などに見られない3つの特徴があります。
- 外界の多様性はすべて「幻(マーヤー)」である
- 神と自我は同じものである。梵我一如
- 智慧によって心の平穏は得られる
といった特徴がありました。そんなウパニシャッドもけっこう長い時期にわたって書かれたものなので3つの時期にわけて説明します。
初期ウパニシャッド
紀元前800~500年 ブッダ以前
代表作:チャンドーギャ・ウパニシャッド、ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド、タイティリーヤ・ウパニシャッド
代表的な概念:「5つのプラーナ」「梵我一如」「輪廻」
5つのプラーナ
5つのプラーナは体に流れるエネルギーのこと。ハタヨガっぽいですが、チャンドーギャ・ウパニシャッドの中にプラーナにかんする事が書かれています。
※プラーナは狭い意味と広い意味がありますが、ここでは狭い意味でプラーナについて。
- プラーナ:呼吸のコントロール
- アパーナ:下腹部の排泄の働き
- サマーナ:胃の消化と腹部臓器の調和
- ウダーナ:しゃべる、歌うこと
- ヴィヤーナ:血液を循環させ、他の四つを助ける
梵我一如
ブラフマンとアートマンという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ざっくりとしたニュアンスですが、おおよそこんなもんです。
瞑想に入っていくと、究極の自分(アートマン)がそこにいることに気がつきます。あれ?・・・なんだろうと見てみると、あれ、おかしいな・・・。これ世界の黒幕(ブラフマン)じゃないか?
ということを直感的に理解します。これが梵我一如の概念です。ようは、神さまも私も一つなんだよってこと。これは直感的なものなので理解できなくて大丈夫です。瞑想が深まった時の心境を表すと「梵我一如」となったわけです。
これをあわらす格言がさまざまな文献に残っています。
- アハン・ブラフマスミ 我はブラフマン
- タット・トヴァン・アシ 汝、それなり
輪廻
すごろくの発祥がインドだって読んだときはびっくりしました。たしか寒い2月頃の図書館でのことでした。インドの歴史を勉強していたとき、輪廻の概念はすごろくからきているとのこと。
☑輪廻はグルグルまわるすごろく。悟りが「あがり」ということ。
中期ウパニシャッド
紀元前500~200年 ブッダ以降
代表作:カータカ・ウパニシャッド、シュヴェーターシュヴァタラ・ウパニシャッドなど
代表的な概念:ヨーガを「心の統一」という意味で使われる。サーンキャ哲学のもととなる心理学。ヨーガをするさいの姿勢、立地
心の統一
ここではじめてヨーガを心の統一という、今日でも使われている意味で登場します。
サーンキャ哲学のもととなる心理学
サーンキャとは数えることを意味するとぼくは習いました。サーンキャはものごとをいくつか25前後のカテゴリーにわけて分類する哲学ですね。
後期ウパニシャッド
紀元前200年~
代表作:マイトラーヤナ・ウパニシャッド、マーンドゥーキャ・ウパニシャッド
代表的な概念:ヨーガスートラのアシュタンガに通じる六支、聖音オームについて
6つの支則
よくしられたヨーガスートラのアシュタンガ(8つの支則)のベースとなったものです。ヤマ(禁戒)ニヤマ(勧戒) 、そしてアーサナがありません。代わりにタルカ(思択)というものが入っています。ヨガの練習をすると能力が高まるわけです。その力が練習のジャマとならないか検査することがタルカ(思択)というんです。
オーム、OM
オームは「OM shanti shanti shanti.」などで聴くことのできる有名すぎる音ですよね。すべての師の師であり、宇宙や神さまそのものを表現する音とも言われています。

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まとめと他の時代について
5000年前にインダス文明という高度な文明から発掘されたシヴァの原型と思われる「ヨーガの坐」はヨガの原型なのではないかと推測された!
しかしヨガという言葉が明確になったのはそれよりずっと後のヴェーダの時代以降だった!
ウパニシャッドの中でヨガとはどんなものかが明確にされたよ!
発展を遂げたヨガは世界にどんな影響をもたらしているのか。そのキーポイントとなる人物を起点に考えていきましょう!
参考文献
記事の中の情報や用語の多くは『いまに生きるインドの叡智―ヨーガの源流から現代の聖者まで』を参考にしています。