「次は三角のポーズ、トリコナーサナだっけ、ええと、どうやってインストラクション(ガイド)したらいいんだ・・・みんな待ってる、早くしないと・・・!うわああ、なにしゃべったらいいのかわかんないよー!!」
と心の中では嵐が吹き荒れている新米インストラクターさん、こんにちは。
この記事では僕が使ってるインストラクションをネタバレします。
90分のハタヨガクラスのシークエンスなら、こうしますよっていう一つの例です。
あくまでも例なので真似てもいいですが、丸パクリだと生徒さんにまったく伝わらないので、気をつけましょう。
※必ず、自分の練習から出てきた言葉でガイドをしましょう。
- はじめは挨拶
- アーサナのインストラクション
- 太陽礼拝、サンサルテーション(スーリヤナマスカーラ)
- 屍のポーズ(シャバーサナ)
- 屍のポーズ(シャバーサナ)から出る
- 瞑想のインストラクション(ガイド)
- 自分で考えてアレンジしよう
はじめは挨拶
どんなレッスンも挨拶をします。グループレッスンであっても、プライベートレッスンであってもね。
さて、ご機嫌はいかがですか?今日はどちらから?え、九州・・・!?遠くからわざわざ、ありがとうございます。
なにか今日来た理由や、困ってることはありますか?なるほど、インストラクションのやり方を学びに、わかりました。
では、始めましょうか。よろしくお願いします。
アイスブレイクという言葉があるくらい、最初にどれだけ打ち解けられるかが意外と重要です。朗らかさをもって、お話をすればいいですよ。
マントラを唱える
では、最初にマントラを唱えます。
先生から生徒にヨガが適切に伝わるようにと、祈りを込めます。
スカーサナ(安楽座)で座ります。
両手を腿の上に、背骨を伸ばし、胸を開きましょう。
1回目はコールアンドレスポンス*1で唱えます。私が唱えたら、続いて唱えていきます。
2回目からは声を合わせて一緒に、マントラを唱えていきます。
Om
オーム
sahanau bhunaktu
サハナー ヴァヴァトゥ サハナゥ ブナクトゥ
Sahaviryan-karavavahai
サハヴィールヤム カラヴァーヴァハイ
Tejasvina-vadhi-tamastu
テージャスヴィナーヴァディータマストゥ
Ma vidvisavahai
マー ヴィドヴィジャーヴァハイ
Om shanti shanti shantih
オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティ
マントラはどうやって教えたらいいか、悩んでしまいやすい部分。実際に自分の先生から習ってから教えましょう。
アーサナのインストラクション
アーサナのインストラクションは難しいと思っていませんか?
実は簡単に伝える方法がひとつあります。
- まず、自分がポーズを見せます。
- 生徒に同じようにやってもらいます。
ね、簡単でしょう?
もし、このやり方が難しい環境にいる場合。例えば時間が短くて「デモンストレーション→生徒にやってもらう」という順番でできない場合は言葉でのインストラクション(ガイド)を中心にやってもらわねばなりません。
ハンドフロー(手の上下)
マットの上にたちましょう。顎を軽く引いて息を全て吐きます。
吸う呼吸が始まったら両手を横から回しあげて。両手を頭の上で合わせます。
吐く呼吸で体側におろしていきましょう。自分のペースで3から5回繰り返しましょう。
もっとも基本的なアーサナ。ハタヨガの父、クリシュナマチャリア先生が生徒に一番はじめに教えるのはこの動き。ハートオブヨガではもっともシンプルなこの動きを最初にやる場合が多いです。
The Promise: Breathing with the arms standing
立位の前屈、ウッターナーサナ
そのまま前屈の動きに入ります。次の吐く息で両手を足元に降ろしていきましょう。軽く顎を引いて前屈します。
先ほどと同じように吸う呼吸で上体を起こして手を回し上げます。頭の上で合掌。
吐く息で再び前屈に入ります。この動作を3から5回ほど繰り返しましょう。
(少しの間)
次の吐く息で両手が床に降りてきたら動きを止めましょう。動いてたときと同じ呼吸を繰り返し、しばらくをホールドします。
(少しの間)
それでは次の数呼吸で体を起こして、両手は下から上に。吐く息で合掌した手を胸の前に。
ハンドフローから続けてウッターナーサナ、立位の前屈に入る場合です。
立位の前屈、パールシュヴォッターナーサナのフロー
片方の足を後ろに大きく引いて立ちます。体が正面を向くように。そしてぐらつかないよう足のスタンスを探します。
前の膝を伸ばした所から軽く曲げます。吐く息で関節を緩めて身体は強く。
吸う呼吸で両手を下から上にバンザイします。
吐く息でその手を膝か足元におろして前屈します。軽く顎を引いて。
この動作を 3から5回繰り返しましょう。
(少しの間)
次の吐く息で手が足元に降りたら動きを止めます。動いていた時と同じペースの呼吸を繰り返しましょう。
(少しの間)
両足を強く。次の吸う呼吸で体を起こして両手を下から上に。
吐く息で体側に手を下ろします。左右を入れ替えましょう
前後に足を開いて動く基本的な立位の前屈です。
The Promise: Striding forward bend
三角のねじりのポーズ、トリコナーサナの伝統的なバリエーション
両足を正三角形になるようにスタンスをとります。
吸う呼吸で両手を横に広げて。吐く息で右手を左の足下に持って行きましょう。(どちらから始めてもらってもよい)
吸う呼吸で体を起こして、吐く息で反対側にねじりを行いましょう。
自分のペースで繰り返します。
(少しの間)
残り左右1回ずつ。終わって起きて来たら両手を胸の前で合わせます。
足を狭めたければ少し閉じて、休憩の呼吸を取っていきましょう。
あまり知られていない三角のポーズの動き。
The Promise: Forward bend with twist
ダウンドッグ下向きの犬のポーズ
四つんばいからダウンドッグ
吸う息で背骨を頭からしっぽまで長く伸ばすよう意識して
吐く息で両手で床を押して膝は軽く曲げたまま腰を天井の方へ引き上げていきましょう
キャットカウ、チャクラヴァカーサナ(牛と猫のポーズ)
息を吸って、牛のポーズ。腰を反らせて胸を開いて前を見て、
吐いて身体を丸めて猫のポーズ。おへそを見ます。
呼吸に合わせて息を吸って腰を反らせて、胸を床。肘を伸ばしたまま、喉元を開いて天井を見て。
吐いて身体を丸めて猫です。両手の間に頭を入れこむように、そしておへそが一番高く、そのおへそを覗き込みます。
息を吸って胸を開いて牛のポーズ。吐いて身体を丸めて猫。
数回繰り返して。
息を吸って、牛のポーズ、吐いて四つんばいに戻ります。
太陽礼拝、サンサルテーション(スーリヤナマスカーラ)
太陽礼拝、サンサルテーション(スーリヤナマスカーラ)と呼ばれるハタヨガのシークエンス。運動量をあげたいときに入れるもの。必ずやらなきゃいけないわけではない。
ハーフサンサルテーション半分の太陽礼拝
息を吸って両手を回しあげて頭の上で合掌します。
息を吐いて両手を足元へおろし立位の前屈。
吸って上体を半分起こし手をスネかモモに置いていきましょう。
息を吐いて再び前屈します。
吸って上体を起こし両手を横から回して頭の上で合掌。
吐く息で両手を体の横へおろします
まずは小手調べ。立位のアーサナのみで構成された半分の太陽礼拝。
ポーズの名前、サンスクリット語は極力排除。
アーサナへ入る動作だけを伝えます。
太陽礼拝オールドスクール式
息を吸って両手を下から上に持ち上げて。
吐く息で前屈。片足を大きく後ろを引いてランジポーズ。
吸って上体を起こして戦士のポーズ1。
吐く息で手をおろして足を後ろ、床にゆっくり降りて。
吸う呼吸で背中を反らして。
吐く息でダウンドッグ。
次の吐く息、片足を両手の間に踏み込んでランジポーズ。
吸って戦士のポーズ1。
吐く息で両手をおろして。後ろ足を前に持っていって前屈。
吸って上体起こし両手を下から上に。
吐く息で両手をハートの前に。
Mark Whitwell Yoga: Yoga for Everyone
太陽礼拝ニュースクール式
息を吸って両手をしてから上に。
吐く息で前屈
吸って両足を後ろへステップしてプランクポーズ(板のポーズ)
吐いてプランクでキープか、軽く沈んでチャトランガ
吸ってアップドッグ上向きの犬のポーズ
吐いてダウンドッグ下向きの犬のポーズ
3呼吸から5呼吸ホールド
吸って両手の間に歩いて上体を半分起こして
吐いて深く前屈
吸って上体起こして両手を下から上に
吐いて両手を下ろして サマスティティ(Sama Sthiti)
現代的なスタイルの太陽礼拝、サンサルテーション(スーリヤナマスカーラ)
J Brown Yoga - Excerpt from the 75min Practice, Sun Salutation With Extra Teaching Commentary
コラム:インストラクションは目の前の人に合わせて
グループレッスンでは、おおよそこんな感じでお伝えしています。
これがプライベートレッスンだとその人に合わせてガラッと変わります。
インストラクション(ガイド)は大勢にむけた誘導ですが、生き物のように流動的です。
そこにいる人が違えば、アライメントのことも伝えることが変わります。
アーサナそれ自体も種類が変わったり、太陽礼拝のバリエーションを変えたりします。
万人に適応する究極の台本はありません。あなたが、目の前の人に合わせて作り変えるんです。
屍のポーズ(シャバーサナ)
ヨガの練習には必ず最後にやること、それはおやすみのポーズ。屍のポーズ(シャバーサナ)ってやりたがらない人がいますよね?
ヨガのクラスに出ると、たまに屍のポーズ(シャバーサナ)をやらずに帰っていく生徒さんを見かけることも。
帰ってしまうのがもったいないくらいの、インストラクション(ガイド)を用意しておきませんか?
今回は3種類のインストラクション(ガイド)を用意しました。多くの人の問題に効果があると思われるものを厳選したので、自分や目の前の人の状態に合わせて使ってみてもいいでしょう。
期待できる効果
落ち着きを取り戻す/体のセンサーを養う/気持ちを切り替える/緊張を手放す/五感がクリアになる/リラックス/気持ちの切り替え/緊張から抜け出す/執着を手放す/焦りを解消/自信を取り戻す/安定感を養う/安心を噛み締める/地に足をつける
- 体の感覚を感じる。落ち着きを取り戻す/体のセンサーを養う/気持ちを切り替える/緊張を手放す/五感がクリアになる
- 静寂と手放し。リラックス/気持ちの切り替え/緊張から抜け出す/執着を手放す/焦りを解消
- 大地に明け渡す。自信を取り戻す/安定感を養う/安心を噛み締める/地に足をつける
体の感覚を感じる
落ち着きを取り戻す/体のセンサーを養う/気持ちを切り替える/緊張を手放す/五感がクリアになる
考え事をしすぎてリラックスできない人には体の感覚に意識を向けるようにしてみましょう。
両手と両足は軽く開いて、腰や肩に違和感がないところを探します。顔が正面を向くようにして、肩は耳から離すように下げておきましょう。軽く息を吸って、口から吐いて(はぁー)呼吸へのコントロールをやめにしましょう。 両目の奥の方まで溶けるようにゆるめて。顎のかみ合わせを解き、舌のつけ根を緩めます。両肩と喉に残っている緊張を大地にそっと下ろして。両手のひらはふんわりと、足元も同様に。 身体の内側に意識を向けていきます。身体の奥がポカポカと暖かく。血液がスムーズに流れ、心臓は鼓動を刻んでいます。呼吸が自然に沸き起こっています。
静寂と手放し
リラックス/気持ちの切り替え/緊張から抜け出す/執着を手放す/焦りを解消
緊張や焦りというもの、自分の行為の結果に執着するために起きる。
執着は数年後、あるいは数十年後には手放さなきゃならないものばかり。明日にもなくなってることだってある。
緊張や焦りは、いずれ消えゆく泡のようなもの。
仰向けになり、両手と両足は軽くひらき、左右均等になるようにおいていきましょう。両目の奥のほうまで柔らかくリラックスさせて、瞳が暗闇と静けさの中に浮かんでいるように感じられます。静寂を保ち、口の奥のほうまで休ませましょう。 自分の持っているものをすべて手放しましょう。知識や肉体、心もすべていつかは手放す日が来ます。私たちの体はすべて大いなるものから借りているもの。命尽きるときに必ず返すもの。 100年後、あなたの悩みや憂いはすべてなくなっているというのに、なぜ、まだとらわれているのでしょうか。生きたまま、このポーズですべてを手放せるように、心の準備をしていきましょう。
大地に明け渡す
自信を取り戻す/安定感を養う/安心を噛み締める/地に足をつける
地に足のつかない不安定な感覚は、大地に根をはるようにどっしりと腰をすえて解消してほうがいい。
両手両足を軽く開いて大地に預けましょう。腰や肩に違和感がないところを探します。顔が正面を向くようにして、肩は耳から離すように下げておきましょう。自分をすべて大地に明け渡すように。 とても大きなものに支えられている安心感。遠い昔、なにかに守られていたときのような安堵感。いいようのない心地よさに身をゆだねます。 その心地よさが全身の細胞一つ一つに、染み渡るように明け渡しましょう。自分が大きなものの一部であるかのように、とても安心できる。そんなことすら思えてきます。
屍のポーズ(シャバーサナ)の長さ
屍のポーズ(シャバーサナ)はアーサナの練習のうち、10%程度を割きます。
60分のプラクティスなら6分、120分なら12分ということ。忙しくて7分のプラクティスしかできないなら、1分程度になります。
もちろん、60分のクラスで10分以上に伸ばすなら問題ないのですが、1分程度では屍のポーズ(シャバーサナ)の効果は得られません。
静寂の時間を取る
ボディスキャンのようなインストラクターが語りかけるのはとてもいいリラックスにつながる。
だが、静寂の時間をとって完全なシャバーサナタイムを取らないと、交感神経がオンになってしまうので、必ず静寂の時間をとること。
インストラクション(ガイド)も大切ですが、沈黙の勇気も持ちましょう。
屍のポーズ(シャバーサナ)から出る
(間)
シャヴァーサナから出ていきます。
両手両足、指先を動かしましょう。
頭を左右に揺らして、両足をそろえ、片足ずつ足を三角に立てます。
両膝を右側に倒し、身体も右側に。一呼吸リラックス、あわてずに右側の居心地の良さを味わいましょう。
左手と右手で床を押して、頭が最後になるように背中を丸めて、慎重にゆっくりと起き上がります。
上体を起こした方からスカーサナ(安楽座)で座ります。
瞑想のインストラクション(ガイド)
瞑想は伝えることが少ない分、非常に楽です。
アーサナ、プラーナヤーマをやったあとに自然とそれは訪れます。瞑想はギフトです。瞑想単体で練習する場合と違い、ヨガにおける瞑想は自然におきる現象です。練習はできません。
安定して楽な姿勢で座ります。背骨は伸ばし、軽く胸を開いて。
目は閉じるか、半目で斜め下を見ます。
あとは自然な呼吸を続けながら静寂にひたります。
瞑想はアーサナとプラーナヤーマのあとに起こる現象。ですから、特別に言うべきことはありません。静かにすることだけです。
「教えなければならない。教えることがたくさんある」という指導者は実は危険な状態なのだ。
自分で考えてアレンジしよう
どのインストラクションも自分の中へコピーはOKです。しかし、ペーストはやめたほうがいいよ。
つまり、真似て読み上げて自分のモノにするのはいいけど、そのまま生徒に聞かせたらいけないってこと。
自分なりのアレンジをしよう。でないと右から左へ聞き流されてしまうよ。
単語を縛ろう
「無駄な緊張を抜いて~↑」「コアを意識して~↑」「無理しないで~↑」「心を~↓」「腹筋を意識して~↑」「もっとリラックスして~↑」
語彙力を鍛えるために、あえて縛りプレイをするのもいいかもしれません。
文学に触れることも、いい言葉を取り入れるチャンスです。ただし、それを伝えるための語彙にするには努力も必要です。
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*1:先生がお手本に1パートだけ唱え、先生と生徒でもう一度同じパートを唱える。