今あなたは、渋谷のスクランブル交差点を渡っています。視界に入る人がすべて80歳以上の高齢者だと妄想してみましょう。
ちょっと恐ろしくないですか?(笑)
さて、統計局による高齢者の割合データを参照してみると65歳以上の高齢者は3384万人(平成27年9月15日現在推計)となっている。総人口に占める割合は26.7%と、なんと4人に1人は高齢者ということになる。
さらには80歳以上人口は1002万人となっていて、東京都の人口1362万(2016年7月31日)に匹敵するレベルになっている。
なので、東京都民と80歳以上の高齢者を入れ替えたら、冒頭のシニアスクランブル交差点という恐ろしいだって起きます(笑)
人間、誰しも加齢に伴って運動能力が落ちて運動不足になりやすいです。運動などで体を健康にする必要性があることは、いうまでもないですよね?
これからはあらゆる地域で、高齢者向けの運動指導が増えていくと予測されます。そこで、シニアヨガを教えている僕が考える高齢者むけの運動指導のコツを5つ紹介します。
高齢者は警戒心を持っている
この三つが、高齢者の方が持っている主なヨガへの悪いイメージ。
- 宗教的イメージ
- メディアのイメージ
- 運動へのイメージ
これらは高齢者だけでなく、男性も持ってしまいがち。
宗教的イメージ
宗教的な事件があったのは、10年以上も前のこと。とはいえ、高齢者の方たちにはそのときのイメージがこびりついてしまっています。
僕はまず、宗教的なイメージを取り払うためにどうしたらいいのかを考えました。
- 宣伝で使うフライヤー(チラシ)に悪いイメージを起こすようなものを出さない
- 使う言葉は怪しいものを避ける。チャクラとかサンスクリット語のもの
- 見るからにおかしなポーズをしない。手足を絡めたりするような
しかし、こんなことはどこでもやっていることです。そもそも、「ヨガをやってます」と言ってしまったら、その瞬間から悪い宗教的イメージを絡める人がいます。
のちに、解決法を見つけました。後で詳しく説明します。
メディアのイメージ
テレビや雑誌を見れば、美しい女性がみごとなポーズを決めている。そんなシーンばかりが撮されるせいか、脳裏に刻まれています。
「そんなハイカラなもの、私には無理よ」と思うのが、田舎にいるおばあちゃん達の発想です。
なので、公民館や体育館で行う文化教室的なもの。ゆるいサークル活動をベースに考えたほうが浸透しやすいはずです。
運動へのイメージ
身体が硬くて、ヨガはおろかストレッチもできない。姿勢は年々悪くなり、猫背が悪化するが、今更運動をしようという気持ちになれません。
大学で高齢者への運動指導をしてきた僕が見るに、健康への意識がある方なら体操をするためにカルチャーセンターに行く可能性はあります。
介護施設などにコネクションがあれば、施設に出向くのもありでしょう。
僕は薬局とのコネクションを持っていたので、呼吸法の講座「呼吸は良薬」を始めることができました。
ヨガをする際に警戒心を抱かせない
ヨガを指導する人にとって大切なのは、ヨガのポーズの名前を覚えてもらうことではない。練習してくれた人が生活の中にヨガを取り入れてくれること。
警戒してしまうと、チャンスはゼロになる
高齢者は自分の考えに固執しやすいと言われている。もし一度でも警戒をされると二度と「やってみよう」というチャンスが来なくなる。
椅子ヨガの指導者、山田いずみ先生はこう語る
ヨガはこれまで運動してこなかった人、運動が苦手な人ほど変化が感じやすいので、シニアの方にはいいみたいです。冷えが常態になっていた方が、自律神経が整って血行がよくなって、びっくりされたり。シニア世代は、一度気に入ると熱心に継続してくださる傾向も強いですね。
僕が高齢者の方たちに教えた時も、劇的に変化があったので驚かれる方が多かったですよ!
先入観がジャマにならないように宣伝も変える
おしゃれすぎるフライヤー(チラシ)はかえって逆効果な場合も。あえて、適度にチープにつくるのもひとつの手法。
もちろん、正統派な洗練されたデザインもありです。
チープ路線でいくなら読みやすく親しみやすいものを目指しましょう。
- 公民館にありそうな
- ピンクや黄色の紙に
- ワープロソフトに入ってそうなフォントで
- これまたフリー素材のイラストの入った
見るからに文化サークル的なチラシなんかが、逆にいいと思います。
ね、ありそうでしょ?
以前紹介したこちらの記事に詳しい作成方法を記載していますので参考に。
フライヤー、バナー画像を編集するならPhoto EditorとPicky-Picsが最強!! - ITUYOGA
反響がありすぎて定員オーバー!?ワークショップや講座のフライヤー(チラシ)作成方法 - ITUYOGA
チープかつ、ゆるめのイラストで商用利用可なものなら「いらすとや」が有名です。
シニアヨガの5つのコツ
僕が高齢者を相手にヨガを教える場合、こんなことを意識しています。
- 外国語を使わない
- ストレッチではなくヨガ
- 名前のついたポーズにこだわらない
- いいかげんがええ加減
- 現状を受け入れ、そこから上を向いていく
早速、この5つのコツを説明していきます。
外国語を使わない
ヨガのポーズはサンスクリットという古代インドの言語か、英語のものばかりです。
なじみのない言葉よりも、日本語を使った方がいいでしょう。
ストレッチではなくヨガ
高齢者からいただきやすい質問の多くが「ストレッチとヨガはどうちがうの?」というものです。
そもそも、同じだったらヨガはストレッチと呼べばいいんです。
ヨガは呼吸とストレッチとアイソメトリクス運動の融合による、動く瞑想です。
高齢者に伝える場合、「呼吸を鼻で細長く吸って吐く」ことを伝えれば充分だと思います。なかには鼻呼吸に慣れてない人もいるくらいです。
名前のついたポーズにこだわらない
ポーズ名もあれこれ伝えなくても「寝転んで身体をねじります」とか「片足でバランスを取ります」という動作だけを伝えてもいいでしょうね。
いいかげんがええ加減
手が右と左で間違っていても、いいんです。
上と下を間違えたって、いいんです。
吸うと吐くを間違えたって、いいんです。
そこでニコニコしていてくれたら、それでいいんです。
現状を受け入れ、そこから上を向いていく
「現状のあなたがすばらしい」ということを認めてもらいます。
何10年と生きてきた証が、今の状態を作った。いわば勲章です。
しかしそのままでは不便さや疲れに悩まされますので、ちょっとずつ上を向いて進みましょう。
まとめ
これからさらに増える高齢者が豊かな生活を送れば、ヨガ講師としては万々歳。
仕事もそうやって確保すれば、「ヨガインストラクターは飽和状態」みたいなことも回避できるのでは?
出張レッスンをしています。お値段などは、ご相談に応じます。
先日書いたこちらの老化の記事も参考になさってくださいませ。では。